来歴
 「越南17号」は新潟県立農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験地において昭和20年に「農林22号」を母とし「農林1号」を父として人工交配を行い、昭和22年雑種第2代種子を農林省長岡農事改良実験所が引きつぎ、翌23年にその雑種第3代種子を農林省福井農事改良実験所で配付を受けて選抜固定を計り、昭和26年に更に同所の廃止と共に福井県立農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験に移管し引続き育成し、昭和28年にその雑種第8代に「越南17号」の系統名を付すと共に関係府県その他に配付し、地方的適否を検討中のもので新潟県において昭和31年度より奨励品種に採用する事になった。
 昭和31年度は雑種第11代で選抜経過及び育成系統図は次の通りである。


特性概要
 「越南17号」の出穂期並び成熟期共に「農林1号」と「農林30号」の中間で「農林21号」より稍々遅い早生に属する粳種である。
低温発芽性は高く苗は良好で苗の葉幅は稍々狭いが伸びがよく苗作りは容易である。苗代日数感応度は稍々敏感で感光性は「農林21号」や「新2号」よりも稍々高い。
葉色は比較的淡く、分蘖の切り上りが良く、特に穂揃が良好である。穂数は「農林30号」や「農林21号」より稍々高く粒着は稍々密で一穂重は「農林30号」「農林21号」より重い。芒は無くふ先は淡黄色である。
稈は弾力性があるが稍々たわみ易く、多窒素条件で倒伏し易い傾向があるが「農林21号」に比べると強靭であり且つ成熟期における稈いたみが少なく、熟色は「ホウネンワセ」と同じく鮮麗である。
葉イモチ並び首イモチ共に稍々弱く「農林30号」程度であるが「農林21号」よりは若干強い。紋枯病には強いが小粒菌核病に対する抵抗性は中位である。
稈蝿の被害は「農林30号」や「農林21号」より少ないが稈が稍々太いので二化螟虫の被害は受け易い。
玄米は稍々小形でよく揃い心白及び腹白なく光沢があって米質良好で精白歩合も高く食味も「農林21号」をしのぐ程に美味である。


新潟県において奨励品種に採用する理由
(i)平坦地帯
中生の基幹品種であった「農林21号」が葉イモチ病に弱く且つ倒伏し易い欠点のために不安定化し最近急激に作付面積が激減する傾向にあり、これに代るべき品種が強く要望されていた。
「越南17号」はこれと熟期を同じくし葉イモチ病耐病性がややすぐれ、且つ収量が高く安定していてしかも「農林21号」の長所である米質についても遜色がなく略々「農林21号」に代るべきことが確められた。しかしながら「越南17号」は「農林21号」よりも稈が強靭ではあるが尚多窒素条件下では倒伏の危険性が伴うので基幹品種とはなり難いと考えられる。
(ii)山間地帯
中生の新2号に比し収量及び米質が劣る。
以上要するに稍々倒伏し易い欠点はあるがその他の特性及び収量については優点があり、その適地が広く特に米質が優れているので奨励品種に採用した。
(a)適地
 県下一円
(b)普及見込
「農林21号」「新2号」「新8号」及びその他の中生の雑品種を対照として向う2~3年の間に急激に普及し最高作付面積は少なくとも1万町歩位にはのぼるものと思われる。
(c)種子の準備
 原種6.5石
(d)現在の栽培状況
昭和30年に約150町歩で種として中蒲原郡及び西蒲原郡に作付された。


配布しうる種子量
2斗


適地
県下一円


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